つまむ、挟む、挟み切る、刺す、割る、ほぐす、混ぜる
FORM
HISTORY
ENVIRONMENT
FUNCTION
MATERIAL
日本で現存している最古の箸は、弥生時代末期に使われていたとされ、元は神様に供物を供えるための神器でした。
当時は、現在広く普及しているような二本一組の形ではなく、薄く削った一本の竹を折り曲げた形状をしていたそうです。諸説ありますが、「箸」という漢字に竹冠が使われているのは日本古来の箸が竹でつくられていたからといわれています。
そんな箸の成り立ちと機能的な理由から、THE箸は竹でつくることにしました。
普段何気なく使っている箸ですが、食べ物の形状や大きさ、柔らかさなど、それぞれの特性に応じながら、つまむ、挟む、挟み切る、刺す、割る、ほぐす、混ぜる等、実に多様な働きをしています。竹は強度がありしなりやすく、箸先を細く作ることも可能なため、力を込めずにこれらの動作を行なえます。
また、竹は、わずか3ヶ月で何十mもの高さに生長するため、永続的に活用できる天然資源であることも、THEと呼ぶにふさわしい素材です。
竹の唯一の弱点は、吸水性があるためカビが生えやすいこと。これを克服するために、漆塗りを施しました。上塗りは、吹き付けではなく、刷毛塗りで一つ一つ丁寧に仕上げています。
実は竹の箸は、材質として強度がある表皮側が正面として作られていて、左右の正しい向きが存在します。表皮を正面にして方向を揃えると、二本一組の箸の間が隙間なく収まり、食材を扱いやすいようにデザインされているのです。そこで、表皮側の天面に少しだけ切り欠きを入れることで、正しい向きがすぐに分かるようにしました。
箸素地の製造は、熊本で竹の箸を専門としている、株式会社ヤマチク。手作業で切り出した竹のみを使用し、部分によって厚みの異なる竹を均一に切り出し、製品形状の削り出しや加工まで、竹箸づくりの全てを自社で行う竹箸専業メーカーです。
漆塗りは、1500年以上の歴史をもつ越前漆器で有名な河和田地区の株式会社漆琳堂によるもの。1793年(寛政5年)の創業以来、伝統技法を守り抜き、化学塗料を一切使わずに、一つ一つを手作業による刷毛塗りで仕上げています。
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